夏と花火と私の死体／乙一

夏と花火と私の死体 (集英社文庫)

あとがきで栗本薫も言ってたけど、死体が語っているというところは意表を突いてて面白かった。一人称なんだけど、でも死んでるから三人称っぽいことも書けるしうまいなと思いました。
話としては、最初五月が→突き落とされた←ところはぞくっとして面白いし、五月と弥生の会話も子供っぽい、甘酸っぱい感じ？が出てて面白いんだけど、やっぱり健くんがそんなに必死になる理由がよくわからなくて、なんだか話についていけなかったかなという感じです。結構延々「死体をどこに隠すか」だったのもダレちゃったです。緑さんの秘密も意外だし乙一っぽいなーって思うけど、ちょっと唐突すぎに思いました。ただ最後の五月の友達がいっぱいいるっていう独白はちょっと怖くて結末としては好きです。

あと「優子」って話も入ってますが、そっちも…うーん。最初の方で「人形が優子」って押し出しすぎちゃって、「人形が優子じゃないんだろうな」っていうのがすぐにわかってしまったのが残念。それが狙いなのかな。結末は意外だったんだけど、ちょっと無理がありすぎるかなと思ったり。