さみしさの周波数/乙一

さみしさの周波数 (角川スニーカー文庫)

さみしさの周波数 (角川スニーカー文庫)

どの話もすごく好きでした。私にとってどの話も自分の悩んでること、悩んでたことと同じことを悩んでたり考えてたりして、それゆえに共感もできるけど、少し痛みもあるような小説で、特に「未来予報」は、今の自分が抱える不安定な感情が同じでせつなくなっちゃいました。部分部分の描写がとてもリアルだし。
「手を握る泥棒の話」も、なかなかユーモラスで面白いんだけど、その時計にかける父への思いみたいなものを考えるとじーんと来る。
「フィルムの中の少女」は他と少し系統が違うのですが、かなり怖かったです。
最後の「失はれた物語」、これもまたせつなくて苦しい。
なんだかうまく説明できないのですが、とにかく喫茶店で読んでて泣きそうになりました。いろんな人に、特に学生を卒業した人に読んで欲しい小説です。