GOTH―リストカット事件/乙一

GOTH―リストカット事件

GOTH―リストカット事件


「切なさの名手」の白乙一から一転、「暗黒童話」「夏と花火と〜」のようなホラー?ミステリー?の黒乙一に変身。他の人はどういう感想をもったんだろうと見てみたが、乙一の「切なさ」に惹かれてる人にとって「気持ち悪い!お前は切ない話書いてりゃいいんだよ」という印象を持った人も多いようで。私は結構好きでした。めちゃくちゃで。死体や犯人見つけても通報しないわ、死体写真見せあいっこするわ…。こいつ何考えてるかわからんと思った森野が案外天然だったりするのが面白い。犬にビビってるし。
「暗黒系」はあっさりしすぎてあれれ?と思ったんだけど(そもそも長編だと思ってたんで)「リストカット事件」で、おっこりゃ主人公が壊れてて面白いぞと思い始めてどんどん読めた。「記憶」は双子って時点であーと思ったけど、でも最後、もらった紐で安心する森野の描写がすごく良かったな。
「犬」「土」「声」は、なんか→全部叙述←だったんで、最後の「声」あたりになるとなんか展開が読める。ああ、こりゃまたそうだな、みたいな感じで。アンソロジーの中に別個で入ってたら良かったかもしれん。
好きなのはリストカット事件と土かな。土はせつない。もう少し待っていれば…。
全体的な印象としては、やっぱり短編なのであっさりしすぎてて、ちょっと物足りないかなって気がしました。