親指さがし/山田悠介

親指さがし (幻冬舎文庫)

親指さがし (幻冬舎文庫)

アンタこの人嫌いなんだから読まなきゃいいじゃないかという声が聞こえてきそうな、山田悠介3冊目。
結果はやはりダメダメ。
この小説のダメなところ。
(1)「なんだかまったく恐くない」ところ。
この本ってすごく読みやすいんだ。すごくすっきりしてる。すっきりしすぎ。必要な表現も足りてない。だから恐さを感じない。人もあっさり死にすぎ。私もグロ描写好きじゃないがもう少しどうにかしてもらわないと・・・。
(2)「親指さがし」という行為自体ちょっと無理がある。
(3)武たちの親指さがしがスズに呪われるという理由付けもイマイチ説得力がない。
(4)偶然多すぎ。
またしてものご都合主義。会う人会う人スズを知ってる。「箕輪スズが途切れない。これも何かの呪いか」的なこと言って誤魔化してたけども…。しかもみんないい人。刑事さえいい人。
(5)無駄な描写が多い。
特に思ったのはスズの同級生の教師と武が会うシーンで、去り際にわざわざ引きとめて武とスズの関係を聞くところがある。この描写がまったくいらない。まったくいらない。伏線にもなんにもなってない。わざわざ呼び止める意味がわからない。ちょこっとづつ無駄な場面が多かった。最後の木を掘り返すシーンでも、ないのかよって感じだし。ないなら掘らせるなよと。
(6)ラストが最悪。
由美がスズとたたかうシーン。もーーー本当にやめて欲しい。ホントこういう小説何回も読んでるから。今の時代にそれをやるか?って逆に新鮮だけども。一番大事なシーンでこんなありふれたことやられたら、全然緊迫感もないし(どういう結末になるかすぐわかる)。ベタすぎ。お手上げ。
(7)スズの存在が微妙。
スズをどういう存在に置きたかったんでしょう。「ベイビーメール」に比べ貞子感が強いんで、多分不思議な力を持った恐るべき少女、的な感じにしたかったと思うんですが。
だとしてもいい子なのか悪い子なのか、突然殺されたっていうのももう少し何かあってもよかったよね。


結論:恐くないってのはホラー小説としては致命的だと思います。