@ベイビーメール/山田悠介

@ベイビーメール

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すごい小説を読んだものです。また長くなってしまいそうです。
ストーリーと文章の読みやすさに関して言えば前回に比べればまだマシになった方でしょう。オチもなかなか面白いと思うし、メールが届くとお腹に子供が宿るという設定も決して悪くないと思います。(女の人の家でのオチ?は最悪だが)ただ、「え?リング?」とどうしても思ってしまう。展開が同じなんだもんなー。「BR」の次は「リング」ですか。


ダメだったところは、相変わらずのご都合主義なところです。まずいきなり刑事である友達が事件の内容をまったく関係ないところで意味なくベラベラしゃべったり。伏線どころの騒ぎじゃありません。それから、主人公の回りでほとんどの事件がおこるとか。普通主人公の回りだけでこれだけの事態だったら、きっと世間では大変なことになっているはずですが、数件事件がおきているぐらいだそうで。
最悪なのが聞き込み中です。
何故そんなにタイミングよく弟や友人彼らが家にいるんでしょうか。
何故主人公たちに対しほとんど同じ反応を取るのでしょうか。
何故揃いも揃って「そういえば故人は…」とか言い出すんでしょうか。
何故故人も誰かしらに事情をしゃべっているんでしょうか。
すごいですこの展開。しかも、ほとんと同じ反応を示す家族たちに「よく聞いてください、信じられないかもしれませんが、これは…」と、毎回毎回同じ内容を語り出すのはやめていただきたい。せめて「事情を話すと」とかで省略してはもらえないだろうか。「よくきいてください実は」「まさかそんな」「最近こんなことがありませんでしたか?(またはこの女を知りませんか)?」「そういえば!」「じつはこれは…」の繰り返し。同じ文章何度も読まされてあれ?デジャブ?と思った。
あとは、呪いをかけた女の人の描き方が足りない。彼女には彼女の苦悩や哀しみがあって(貞子もそうだったように)この女の人の人間性が描けていたらもう少しはよくなっていたんじゃないかな。これだけ読んだらこの女の人がただの頭おかしいヤツになってしまっていたので。あーあ、頭のおかしいやつが頭おかしいから呪っちゃったよ、では勿体無い。


私が一番オススメする最悪ポイントは自分の生徒が家に来た時のシーン。状況から見て、その子もベイビーメールの格好の餌食なのに、まったく忘れてトイレに行っていて、戻ってきてみるとベイビーメールが!!そこで一言。


「ベイビー…メール」


この一言にはもう敵いませんわ。アホすぎ!!普通気付くって。ホントご都合主義。前回のように壁になげつけはしなかったですけど(今回は借りたというのもあるが)評価としては最悪と言わざるをえないです。