夏と冬の奏鳴曲(ソナタ)/麻耶雄嵩
- 作者: 麻耶雄嵩
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1998/08
- メディア: 文庫
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烏有の「自分の為に死んだ青年の代わりにその道を歩まなければいけなくなった」っていうのは…すごく苦しい。そこらへんの文章読んで、何ともいえない感じになった。
個人的に、麻耶の好きなとこは小学校で出したら絶対に先生に怒られる文章を書くとこ。
「、すまなかった」とか
『(4)その瞬間、烏有は強い不安に襲われたのだ。何
(3)なのかはわからない。予感だろうか?これを見
(2)てはいけないという…強烈な嫌悪感。だが、
(1)…そして映画が始まった。』
とか。でも使い方として違和感がない。なんか巧い。
あと麻耶ってこんな作品書いてる割に多分面白いヤツなんだろうなって思われるような文章や単語が端々に出てくる(気がする)「そこがネックなのよね」3連発とか枕の往復ビンタはウケた。
でも女の子の書き方が古い気がするんだよね。「ぷうとふくれた」「ぱふっと枕を」とか。それが桐璃のキャラなんだと言われればそれまでなんだけど、なんかアニメっ子って気がするのは気のせいか?
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私としてはラストあたりでの桐璃が印象深いです。最初、新桐璃が出てきたとき、烏有はもう一人の桐璃を選ぼうとする。こっちの桐璃も桐璃なのに、そっちの桐璃を選ぶのはそっちの桐璃が弱いから。なんかそれがすごく悲しかった。こっちの桐璃にしてみれば、今まで普通だった烏有が別の桐璃を選ぼうとしてるんだから。自分が性悪の根源みたいな言い方されて。最終的にこっちの桐璃を選ぶんだけど、それも「目」があるからでしょ?2人は同じわけで、だから目があるかないかは重要なのかもしれないけど、目があるからという理由だけで選ばれた桐璃は幸せなのかな。と思った。うーん、2人だったのが1人になれるんだから幸せなんだろうけど…。どちらにしろ、こっちの桐璃を選んだという展開にはぞくっとさせられるね。あっ、でも「うゆーさん」と「うゆうさん」と分けてるのにはなかなか気付かなかったな。
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しかし桐璃って漢字変換すると当たり前のように「東リ」が出てくるのはいかがなものか。