痾/麻耶雄嵩

痾 (講談社文庫)

痾 (講談社文庫)

バナナの皮ですべって転んで記憶を失ったという衝撃のオープニング。
それにしてもこれは、作品どうこう言う前にまずはやっぱり「わぴ子」という名前に相当の抵抗が…。どう考えてもわぴこって…わぴこって…手乗りきんぎょの…。わぴ子をどう美しく表現しようがやっぱりピンクの頭が浮かんでくるし、っていうかわぴこが麻耶の目にはそう見えていたんじゃ…とかバカなことまで考えてしまいました。麻耶が変わった名前が好きなのは知ってるけど、これは…。わぴ子が→本名が「和彦」←とかいうオチならまだ理解できたんだけど。
まあ、それはいいとしても、「夏と冬」の重い雰囲気を引きずりつつもメルの勝手ぶりにちょっと和んだり。ラストまでに全てが一本の線に綺麗に繋がってて、巧いと思いました。メルがなんで烏有に探偵の真似事をさせたか、「君なら私になることができる」という言葉で、またうまく「翼ある闇」に繋がってる。やっぱり→メルが死んじゃう←のは淋しいですね。メルは美袋より烏有を選んだのか…。散々虐げられた挙句選ばれなかった美袋って一体。