鬼子/新堂冬樹

鬼子〈上〉 (幻冬舎文庫)

鬼子〈上〉 (幻冬舎文庫)

この鬼子の上巻の表紙が大倉考二にそっくりなんですが…。本人??
さて、まずこの袴田勇二という男、とにかく人間が小さい。ペンネームが風間令也ってホストみたいな名前だし、書いてる作品も「こんなもの、きみの魅力に比べたら、ボロ雑巾と同じさ」「ばか、ばか、ばか、明人のばか」とか、とにかく歯が浮くような小説。小説も全然売れてないのに、それでもプライドが高く、外出するときはサングラス(自分が風間令也だとバレないように)、着ている服はブランドもの(万が一風間令也だとバレてもイメージ壊れないように)、挙句視線を感じる…風間令也の熱狂的なファンだと疑ったり。フランスには一回ツアーでしか行った事ないのに小説には頻繁にフランスが登場し、情報は全部本や雑誌から。カフェでも気取って「ギャハッソン」と呼んでみたり…。
その一方で子供からは暴力を受け、奥さんは妙に他人行儀だし、娘も大変なことになってもう家庭崩壊。
最終的にどうなるんだろうと思ったら、思いがけない方向に行き、びっくり。一気に読んでしまいました。ただちょっとラストシーンが唐突過ぎたかな。