失はれる物語/乙一

失はれる物語

失はれる物語

以前日記にも書きましたが大変装丁が美しく、この、「きみの音楽が独房にいる私の唯一の窓、透きとおった水のような6篇の物語。」というキャッチコピーも素敵です。とりあえず装丁だけでも買いの本。
内容としては子猫のあれ、手を握る泥棒の話、傷、君にしか聞こえない、失はれる物語という今まで「ライトノベル」として出版された物語の再録と、新作「マリアの指」という6本立て。過去の話はいい話ばっかり詰め込んでいて、かなり選び方がうまい。個人的にはBLUEを入れてくれれば完璧だったけど。あと、「失はれる物語」をメインに持ってくるのも憎いです。
とりあえず前5作に関しては感想を書いてると思うので今回は「マリアの指」なのですが、(切ない系の白乙一の中に冷蔵庫に指という黒乙一が入り込んでいるのが面白い)思ったよりインパクトがなくちょっとがっかり。なんとなく犯人がすぐわかってしまったし。マリアのキャラもちょっと無理がありました。
それから、この本の注目点は乙一があとがきでマジメなことを書いているところでしょうか。確かにライトノベルは軽く見られがち。この人ライトノベルでいい話結構書いてるのに。こういうかたちで角川から再録して出版するということも、実は悲しいことなのですね。