壬生義士伝/浅田次郎

壬生義士伝 下 (文春文庫 あ 39-3)

壬生義士伝 下 (文春文庫 あ 39-3)

新選組吉村貫一の物語。といっても彼の死後、周りの人が彼について語るという形式です。
この吉村は自分の為には一切金を使わず安い刀と安い服を身に付け、女遊びは一切せず、すべてのお金を家族に送ります。周りからは笑いものになり、女性を紹介されたりしますが、彼は一向に気にせず、女性との縁談も断ります。金の為に面倒な仕事も引き受け、人斬りとまで呼ばれる貫一。そして腹をくくらなければいけないような場面でも、家族のために生き残ろうとする。すごい生き様です。
いろんな人が彼を語る中で私は齋藤一が語るところが好きでした。吉村を大嫌いと言いながらも、誰よりも彼を理解し愛していたというのが感じられる語り口。まさにツンデレ。絶妙です。
齋藤が吉村を守るために駆け寄ろうとしたところと、吉村が握り飯を齋藤に渡そうとしたところがぐっときました。


愛とは、義とは、武士の生き様とは?いろいろ考えさせられました。