熊の場所/舞城王太郎

熊の場所 (講談社文庫)

熊の場所 (講談社文庫)


初めての舞城王太郎。まだよくわからないんですが、読むのがちょっと疲れました。自分も若いのでこういうこというのなんですが、すごく若い人の文章という感じ。「頼むってマジでバット男。バット使ってくれって真剣に」とか普通に書いてある。
熊の場所」ではそれほど感じなかったのだが「バット男」「ピコーン!」と短編がすすむにつれて文章のぶっ飛び感が増していくというか悪化していくというか。ワタシもそこまで頭が柔らかくないようです。慣らそうと、今「世界は密室でできている」を読んでいるところ。
で、文章はちょっと抵抗あったけども、内容はすごくいいです。
熊の場所」は、純文学っぽい感じで、主人公とまー君の奇妙な友情だとか、まー君に対する感情だとか、「熊の場所(恐怖の源)に戻る」という表現がいい。
「バット男」はバット振りまわす割に弱くって逆に返り討ちにあってる「バット男」と友人夫婦の恋愛の物語。自分もバット男になってしまうかもしれないと考えるところがこれまた純文学っぽい。
「ピコーン!」は…ええと、ページの全部に「フェラチオ」という言葉が出てくる小説。最初から最後までフェラチオの話。彼氏がマジメになるのにも、謎解きにも全部フェラチオが関係してくる。正直私にはちょっとキツイ。まあその、表現方法は結構キツイけども、内容は青春小説のよう。
最後にダウンタウン松本人志が一人ごっつでやった「出世させよう!」というコーナーの内容が書かれていて(ここもまたフェラチオに関することなんだが)それを締めに持ってくるっつーセンスはすごいと思った。この頃の松本は面白かったと断言されちゃってるんで、ちょっと切ないが。
とにかく三作とも、それなりに楽しく読めました。最強の純文学。うん、ある意味そうだろうな。