一人二役/河本準一

一人二役

一人二役

河本復帰記念。
すごい良い本でした。タイトルの「一人二役」っていうのは、父親のいない河本の家庭では、オカンが母親も父親もやってくれた、っていうそんな意味です。河本の文章は、その時の気持ちなどの内面を文字に籠めるというよりは、あった事実を淡々と書いている部分が多いので、だからこそこのときどういう気持ちだったんだろうと色々考えて胸がつまりそうな箇所が何箇所もあった。
河本の幼少時代のエピソードは色んな番組で本人が語っているけど、笑い込めて喋ってる普段のものとは違い、特に2番目のお父さんから逃げ出したときの弟が道路にへたりこんでいた場面や、最後の温泉旅行などの部分は、とても感情を揺さぶられた気がしました。
そんな複雑な家庭だから辛かったことも多かったのだろうけど、おかんの大きな愛に包まれて育ったことや、河本自身もおかんが大好きなことがすごく伝わってくる本でした。よいよい。


巻末におかんと河本が手紙をお互いに書いていて、これが2人ともあたたかくてすごく良かったのですが、おかんが息子に宛てた手紙の一部にこんな記述がありました。

「お前がうちのおかんは色が黒くてパンチパーマで男やねんと皆んなにいつも言っているけど、母さんは男にならないとお前を育てることが出来なかった」

泣けるー!ホント、自分がこういう状況になったときにここまで必死に子供を育てられるだろうか。母は強し。