リアルワールド/桐野夏生

リアルワールド

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感想を述べるのが難しいが非常に良かった。
桐野夏生って村野ミロシリーズなんかをいくつか読んでるんだけど、イマイチ好きじゃなかったしこういう文体で書く人と言う印象がなかったので驚きました。


仮名を使って生きるホリニンナ、自分の本質を隠しバカな振りをするテラウチ、自分のセクシャリティを隠すユウザン、真面目で可愛らしい女の子を装ってるキラリン。それぞれ自分を隠し、自分や周りを冷めた目で見ている4人。そして母親を撲殺したミミズ。そんな5人の一人称で語られていく物語は、口調も軽やかで決して読みづらくないし難しくもないけど、でも重いし深いし容赦ない。


やるせないんだよねーいろいろ。高校生4人とミミズもそうだけど、ミミズのお父さんの土下座とか、ワタルの手紙とか、なんかいろいろぐっとくる場面いっぱいあった。なんか久々に、読んで良かったーと思えるような小説でしたです。
すんげー昔に発売してるのに今更感想述べてますけど、それはいつものことってことで。